高齢化進む広田地区 移動販売に笑顔の輪 週2回実施
「こんにゃくを買(こ)うて、大根と一緒に炊こかいねえ」。3月上旬の午後、愛媛県砥部町広田地区の高市で地元の高齢者が集まり、会話に花を咲かせている。待つこと2時間。集落に続く山道を上ってくる軽トラックが見えた。「あっ、来た!」。弾んだ声が響く。
過疎化が進む砥部町広田地区。町によると、65歳以上の住民は765人で高齢化率は51.1%(2月末現在)。うち1人暮らしは79人(2月1日現在)に上る。
町は2月、広田地区住民の買い物を支援するため、スーパーのセブンスター(松山市)に委託して、住民の見守りを兼ねた週2回の移動販売を始めた。
近くの友人との会話が楽しみで数時間前から集い、「木綿のお豆腐もあるよ」「豚肉は買わんでええのかい」と声を掛け合いながら買い物を楽しむ高齢者。地区を駆け巡る小さな移動販売車が、住民の新たなコミュニティーの輪を広げ始めている。